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中耳炎では抗生物質の選択がポイント

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指導/山中 昇
和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科教授

 急性中耳炎は、3歳までに約70%の子どもが少なくとも1回はかかるといわれています。通常、耳の痛みや発熱の症状を急に訴えることが多いのですが、乳幼児では言葉で伝えることができないので、耳をよくさわる、不機嫌、食欲が落ちるなどの行動に現れます。急性中耳炎は熱が出る乳幼児の病気としては最も頻度の高いもののひとつですので、2歳以下の乳幼児の発熱では、まず急性中耳炎を疑う必要があります。

▼子どもの急性中耳炎の抗生物質治療

 急性中耳炎の約80%は肺炎球菌とインフルエンザ菌という細菌により起こります。最近ではこれらの細菌の50~70%が抗生物質の効きにくい薬剤耐性菌になっており、子どもの急性中耳炎が治りづらくなっています。したがって、適切な抗生物質の選択が非常に重要です。急性中耳炎治療では、まずペニシリンというくすりを使います。しかし、すでに1ヵ月以内に抗生物質を使ったことがある、中耳炎を繰り返している、保育園に通園中などの子どもはくすりが効きにくくなっている可能性が高いので、ペニシリンやオーグメンチン®などを、通常量の1.5~2倍に増やします。それを3~5日のんでも効果がなければ、くすりの種類を変える必要があります。

▼日常生活の注意

im_001 (1) 子どもの耳と鼻をつなぐ耳管は、大人よりも太く、短く、水平に延びているため、風邪をひいた後、鼻の奥の細菌が増殖すると、耳管を通じて中耳炎を起こしやすくなります。したがって、風邪をひいた後は中耳炎の症状に注意してください。また、鼻水をたらしている子どもは中耳炎にかかりやすく、治りにくくなるので、鼻をかむようにさせましょう。乳幼児では、家庭でも市販の吸引器で鼻水を吸い取ってあげることが大切です。

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